S.イッサーリス チェロ・リサイタル

とんでもないリサイタルだった。
まず、場所がとんでもない。浜離宮朝日ホールです。ホールは素敵でした。ただ「大江戸線築地市場駅から0分」なんていう事を鵜呑みにしていたのがまずかった。改札からホールの受付まで3分はあった。階段やエスカレータも多い。まいったまいった。開演時間ギリギリに行ったがなんとか当日券を入手。Kさま、産休。
次、聴衆がとんでもない。家でテレビでも見てるようなつもりなのだろう。レジ袋をガサガサいじってみたり、携帯電話の呼出し音が鳴り渡ったり。せっかくホールへきたのだから、静寂を味わってもらいたい。喧騒を離れることに意義があるのだ。そういう意味では、居眠りしてしまうのは最適解の一つとも言える。ただ、いびきや歯軋りは謹んでいただきたい。マウスピースなんかを持参して歯軋りやいびきを抑制することが本人の健康のためであり、周囲にとっての幸せにもなる。
次、恩師に会ってびっくり。この春リタイヤなさったとはきいていたが、よもやこんなところで。しかし、ちょっと考えれば合点の行く話で、ロンドンを中心に活躍しているKenとイッサーリスとは親交があるそうで。人が人を呼ぶんですなぁ。私もいい人と引きあうようにこころがけたい。
最後に、演奏がよかった。人柄と言うのがにじむんでしょうか。サン=サーンスソナタに幕を開けてフォーレのシシリエンヌと進んでいったわけですが、エレジーに至ってついに涙してしまいました。余韻も収まらぬうちに、次のドビュッシーが始まってしまったわけですが。前半はとにかく僕でもわかる素敵な構成だったなぁ。後半は、感動でぐったりしていたので、もう……。
豪胆な振る舞いに見えながらも、繊細な気遣いがあり、一本芯の通った感じ。いいなぁ。演奏する姿に刺激を受けました。また練習に励めそうです。